この鹿皮なめしの記事は8年ほど前のものなのですが、いまだにコメントなどをいただきますので、その後の改良点などを若干細くして書き直しました。
基本的にはこれは2008年に鹿皮なめしをした時のやり方で、それをメモ代わりに載せておいたものです。鹿皮なめしは、狩猟を始めた頃からずっと試行錯誤を繰り返して、ようやくこの方法にたどり着きました。ミョウバンを使ってなめす場合は現在もこの方法でなめしています。他には脳漿なめしやタンニンなめし、燻煙なめしなどいろいろ試してはいますが、ミョウバンなめしがやはりいちばんお手軽です。ただ、この方法もまだ満足度は70%くらいなので、引き続き研究を続けていこうとは思っています。
また、最近は脱毛処理した鹿革の方が色々と加工もしやすく利用しやすいので、そちらのなめしが中心になっています。そのやり方はまた改めて記事にできたらと思いますが、
こちらの記事で少しだけ紹介しています。
では、以下、鹿皮のなめし方です。
1.剥いだ毛皮を丸ごと洗剤を使って洗濯機で洗います。これは、皮の内側に残った肉と脂肪をゆるませると同時に、毛の側についた汚れを落とすのが目的です。当然ですが、衣類を洗う用のものとは別で中古の洗濯機などを用意して使ったほうがいいです。
2.脱水してから、毛皮を外側にして物干し竿に3時間くらい干します。長時間干しすぎるとにおいが出るので、毛の側がだいたい乾いたらよいです。

毛の部分も以外と早く乾きます
3.皮に残っている肉と脂肪をこそげ落とします。刃先の鈍ったナイフなどでやります。切れ味のよいナイフでやると皮が切れてしまう場合があります。

ある程度で妥協しないと疲れます
4.市販の焼ミョウバンと塩を同量混ぜ合わせたものをまんべんなくこすりつけます。鹿皮ならそれぞれ1キロずつくらい使用します。
※2008年時点ではこの配合でしたが、私の方法だとなめし完了後にどうしても毛皮に塩分が残ってしまうという問題がありました。その後、ネットで焼ミョウバンではなく生ミョウバンを入手し塩無しでやってみたところ特に問題なく出来ましたので、最近は塩無しでやっています。

全体にまんべんなく
5.上下に新聞紙を敷き、ぐるぐる丸めて、10日間ほど放置します。

こんな感じで。
6.巻いたのを開き、塩とミョウバンをこすり落としてから、ナイフで全体をこすり、油を全面に塗りこみます。

ミョウバンはカチカチになっています

丸太などにあてがってこするとやりやすいです。
※上の写真の皮は、現在の私から見ると完全にはミョウバンが浸透しきっていない部分もあるように思えます。そういう場合は、硬い部分に水で溶かしたミョウバンを再度塗り込むという工程を行います。
7.板にピンと張って釘で打ち付け、陰干しします。水が浮いてきたら随時タオルで拭き取り、1〜2週間ほど、完全に乾燥するまで待ちます。

今回はひもで張るやり方にしました
※この写真も随分と適当に紐を張っていますが、本来はもっとテンションがかかる感じで張る必要があります。そして、その張った状態で先の丸い棒などでグリグリと硬いところを押すとさらに柔らかくなります。
8.最後に全面をヤスリ掛けして終了です。表面がきれいな白色になり、柔らかくなります。電動ヤスリを使うのが便利です。
※これも棒で押したり引っ張ったりという工程がしっかりできていれば、それだけで白く柔らかくなって、ヤスリがけはほとんど必要ない状態になることもあります。

これで完成です。まあプロの作品の7割くらいの柔らかさです。

堅い状態(なめしていない)の皮を加工したペットボトルケース

脱毛処理をした堅い状態(なめしていない)の皮のカバン
↑近所の薬局などでは焼ミョウバンしか手に入りませんでしたが、最近はネットで生ミョウバンも購入できます。生ミョウバンのほうがしっとりしているので、最近はこちらを愛用しています。
↑皮に塗り込む油は、私はサラダ油やイノシシ脂を精製したものなどを使っていますが、こだわる人は革製品用のミンクオイルなどを使っているそうです。大きい皮を何枚もやろうとするとコストがかかるので考えものですが、小型獣の毛皮などを丁寧に完璧に仕上げたい時などは使ってみるのも良いかもしれません。
※当記事は2008年5月25日投稿の記事のリニューアルです。