無双網に掛かったカモ
1.まず、網にかかったカモは首の鎖骨の間から指を胸腔内に突っ込んで、心臓からのびている動脈を切ります。爪さえのびていれば刃物は必要ありません。すると、数秒で絶命し、胸腔内に血がたまります。ちゃんと血管が切れたかどうかは指先に熱い血流が当たるのですぐにわかります。これは、私が属する猟友会に伝わるやり方で、他では聞いたことがありませんが、多数のカモを効率よく止め刺し&血抜きすることができます。「暗闇の中」で「網に絡まったカモ」という刃物が使いづらい状況下で編み出された手法だと思います。
その後、網からはずして首に開いた穴を外に向けて振ると血が出てきます。これは別にやらなくても血抜きは済んでいます。
胸の血が付いている辺りが指を突っ込んだところです
2.何十羽も捕獲した場合、重ねておくと熱がこもって肉の劣化が早まるので、軽トラに積む時もなるべく広げて置くほうがいいです。帰宅後、まず肛門周辺の羽をむしり、肛門に2センチほど縦に切り目を入れます。そして、そこから指を突っ込んで消化器系の内臓を引っ張り出し、その後ホースを突っ込んで中を洗います。腸抜きは本来は絶命直後に行うことができるとより良いです。
これで、その後は冬季ならしばらく庭先にぶら下げておいても問題ないです(猫対策はしっかりしましょう)。
ニッコー ポケットナイフ No.2 バードナイフ 日本製
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狩猟用ナイフにはこのような腸抜きフックが付いてるものもあります。カモくらいのサイズだと指が入りますが、それより小さいヒヨドリなどだとこういうものがあると便利です。腸抜きがない場合は、木の棒なんかでも引っ掛かりがあれば代用できます。また、 肛門のあたりに切れ目を入れてから、腹部を押して内臓を押し出して抜く方法もあります。
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狩猟用ナイフにはこのような腸抜きフックが付いてるものもあります。カモくらいのサイズだと指が入りますが、それより小さいヒヨドリなどだとこういうものがあると便利です。腸抜きがない場合は、木の棒なんかでも引っ掛かりがあれば代用できます。また、 肛門のあたりに切れ目を入れてから、腹部を押して内臓を押し出して抜く方法もあります。
3.毛引きを始めるときは、まず羽を第一関節から折ります。その後はむしるだけ。強くやりすぎると皮がめくれます。親指でなでるようにやるのがコツです。頭の皮はむきにくいので皮ごと向いてしまいましょう。
湯引きをしたり、蝋で固めて抜くというやり方もありますが、ニワトリなんかよりはだいぶむしりやすいので、慣れればそのままやるのが一番お手軽です。
丁寧に毛を引いていきます
4.だいたいむしれたらバーナーやコンロなどで軽くあぶり、産毛を焼きます。それをたわしでこすり落としたら毛引きは終了です。カモによっては筆毛と呼ばれる生え替わる途中の毛が皮の中に残ってる場合があるので、それは毛抜きで抜きましょう。
こんな感じで、産毛が残るので、それをバーナーで焼きます
3羽むき終わり
5.つぎに肉のはずし方です。背開き、腹開きと2通りのやり方がありますが、私は腹開きです。
まず、首から上を切り落とします。つぎに腹の骨に沿ってささみをはずし、鎖骨を真ん中で切って(調理バサミが便利)そのままあばらに沿って肉をはずしていきます。手羽とモモは肉に付けたままにします。これを両側で行うと肉が1枚になります。その後にモモと手羽の骨を抜きますが、めんどくさかったら、この状態かこの半分の状態で冷凍保存して、腕と足の骨はそのままにして、調理する際にはずすのでもよいです。
このようにはずしていきます。ササミはとりあえず胸肉に付けたままでいいです。
無事お肉になりました
6.あとは、腹腔内に残ってるレバー、砂肝、心臓を取り出します。この3つを串に刺して串焼きで食べるのもよいでしょう。レバーには苦い胆汁の入った胆のうが付いているので、それは取り除きます(胆のうは干して胃薬にする人もいます)。砂肝は、中の砂嚢を破らないように肉の部分をカットする方法と、半分に割って水洗いして内皮を剥ぐ方法があります。なお、肉に汚れが付着するといけないので、内臓の処理は肉の処理・パック詰めが全て終わってから行うのがよいです。
胸の部分がパカっと外れます。
7.残った首と頭、あばらや背骨などのガラはスープをとるのに使います。あばらに張り付いている肺などを取り除いたうえで、いったん熱湯に軽くくぐらせて血などを洗い流しておきます。なお、どの段階でもいいですが、おしりの先にある油つぼという菱形の固まりは取り除いておきましょう。臭いです。
※カモの舌を珍味として刺身で食べる方もいらっしゃるそうです。
1羽分でこれくらい。数人で鴨鍋を楽しめます
※今回のカモは法定猟法である無双網猟で捕獲したものを使用しています。無双網猟は狩猟免許の網猟免許所持者が猟期に狩猟者登録をすることで行うことが出来る猟法です。
わが家でつくる合鴨料理 |
※当記事は2006年2月16日投稿の記事のリニューアルです。