軽トラの荷台でハラ抜きを終えたところ
皮はぎに入る前までの行程はイノシシの解体とほぼ同じなので、そちらを参照してください。
違うところは、
・シカは後頭部をどつく
・心臓あたりの大動脈を突いてもよいが、頸動脈で血抜きする方法もある
・シカに胆のうはない
・シカは脂の層がほとんどないので、すぐに皮はぎにとりかかっても問題ない
というくらいです。では、以下に皮はぎからの解体のやり方を記します。
1.両方の後脚の腱にフックをかけて吊し、まず足首四本とも皮をくるりとカットします。この時に腱まで切ってしまうと、シカが落ちるので注意です。そして、内側から体の中心まで切れ目を入れ、後脚の先から皮を剥きます。皮を引っぱりながらナイフをそっとあてがうだけで、するするとむけていきます。尻尾の骨だけは関節部分で切断します。ある程度剥けたところで、体重をかけて引っぱればベリベリッと音を立ててめくれます。バラ肉の外側の薄い層が皮に付くのさえ注意すれば、ものの10分もあれば剥き終わります。
後脚から剥いていきます
剥いた皮をなめす場合は、薄い肉を皮に残さないほうが後が楽です
2.首まで皮が剥けたら、つぎは頭部を切り落とします。頭を上下に動かして可動する関節部分にナイフを入れて、くるりと回せば、簡単にはずれます。顔の部分の皮は剥く人もいれば、首くらいまででやめて、首から上は毛皮の付いたまま切り落とし、肉のほとんどない頭部は埋めてしまう人もいます。私は基本的には剥いて、ほっぺたの肉とタンだけ取ります。脳みそは食べたことも何度かありますが、普通は食べません。脳みそは皮なめしにも利用できます。
3.頭部がはずれたら、そのままパーツに分けていきます。まず、肩甲骨ごと前脚をはずします。これは、脇の間に肉の分かれ目があるので、そこにナイフを入れると簡単に外れます。肩甲骨は意外と奥まであるので注意が必要です。端の方は柔らかい軟骨のようになっているので油断すると骨が残ってしまいます。
4.、次に後ろ脚をはずします。これは尾てい骨に沿ってカットしていきます。尾てい骨とももの接合部分は足をもって稼働させるとわかりやすいです。ここはちょっと複雑な形状をしていますが、何頭か捌くとだんだん体が覚えてきます。
後ろ脚と前脚です。一番奥はワナの掛かった足で血肉になっています
5.残った胴体から背骨に沿って付いている背ロースの肉をはずします。最上の部位です。丁寧にはずし、そこに付いている薄い皮を剥ぎます。薄い皮を剝ぐのは、魚の皮を引くのと同じようにまな板のうえで包丁を寝かせてやります。
胴体からは、ロース、ヒレ、バラ、クビの肉が取れます
6.あとは、胴体内側のヒレ肉、あばら周辺のバラ肉、首まわりの肉などをはずせば、胴体は終了です。なお、ハラ抜き後のシカを冷水に浸けて冷却する場合、直接水に触れるヒレ肉がどうしても水を吸って傷みます。なので、ヒレ肉だけハラ抜きの後に先に外しておくという方法もあります。私もよく、そうしておいて、シカが獲れた日の夕飯にそのヒレ肉と心臓とを焼き肉にしたりしています。
7.先にはずしておいた脚はその中心に通っている骨を取り外して大きい肉の塊にしてしまいます。前脚は肉の中に羽子板状に入っている肩甲骨をはずすのがやや面倒ですが、慣れればそう手間はかかりません。骨から肉を外そうとすると、どうしても肉が細切れになる傾向があるので、肉の中から骨を抜き出すつもりでやると、おおきなかたまりの肉のブロックが残ります。
骨抜きを終えたモモ肉は筋肉ごとにブロックに分けます
手前がロースで、奥が骨抜きの終わったモモ肉です
8.さばいた肉はそれぞれ適当なサイズにカットし、スジや膜などを取り除いて精肉し、部位ごとにパック詰めして冷凍します。
部位ごとに真空パックしてから冷凍保存します
だいたいこれで終了です。シカはよく肉の歩留まりが悪く体重の3割くらいしか肉が取れないと言われますが、それはブロックとして肉が取れないクビやバラ、スネなどを計算に入れてない場合です。それらも含めると5〜6割はいきます。
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◆鹿皮の保存
※当記事は2007年12月23日投稿の記事のリニューアルです。
事故死した野生狸の皮を脳でなめしたことはあるのですが、やはり鹿の皮をなめしてみたいものです。
肉と皮両方利用できれば素晴らしいですよね。
鹿皮の脳なめしも以前やってみましたが、最近はもっぱらミョウバンなめしです。
この冬も皮なめしはやる予定なので、近々ブログにもアップできると思います。
鹿肉の血抜きに関してですが、捕獲の段階で充分に血抜きされた鹿肉は、そもそも調理の段階での血抜きは必要ありません。なので、その鹿肉がどのような状態のものかが問題になります。
そのうえで、充分に血が抜けきっていない肉の血抜きですが、まあ基本的には液体状のものに漬けておけば血は抜けると思います。どういうものに漬けておくかは、その後の料理法にもよるかと思います。
私の場合は、牛乳に漬けておくことが多いです。レバーに関しても同様です。
あとは、血の抜けていない肉の利用法としては、そのままゆでて灰汁抜きをしてそのまま煮込み系の料理に使うことも多いです。あとは、ミンチにすると血が抜けていなくても意外と気になりません。
鹿肉は、結局酒につけました。
でも、殺して1日たってたからか臭かったです。
焼肉にしたらくさかったのでカレーに入れてたべました
水で洗ってはいけないといわれたのですがレバーなんかは水で洗うのに鹿はなんで洗ったらいけないんでしょう。
酒に漬けてから焼いて食べてまだ臭かったのでしたら、何か解体時の処理に問題があったのかもしれませんね。
あと、水洗いですが、私はなんの問題もないと思います。特に血が滲出しているような肉は血抜きもかねて洗うのはむしろよいと思います。
私は通常の肉は洗わないですが、血の抜けていない肉は洗うこともありますし、燻製などをする時は塩抜きの過程で必ず丁寧に洗います。
コメントありがとうございます。
美味しいお肉だったということは、きっと上手に処理さていたんでしょうね。血抜きもばっちりだったのではないでしょうか。
いずれにせよ、美味しかったのでしたら、心配することはないと思いますよ。
コメントありがとうございます。
イノシシも鹿もおいしいですよね。
今後ともよろしくお願いします。