こないだ捕ったウナギをさばく際に、ようやく詳細に写真を撮ったので、ウナギのさばき方の記事を書きます。
ウナギのさばき方は、関西は普通腹開きと言われますが、私は教わったのが背開きだったので、背開きでやります。ちなみに、よく関東は武士の地域なので腹開きは切腹に通じるので避けられ、逆に関西は商人の地域なので腹を割って話す事がよしとされるために腹開きになったとか言われますが、実際のところはよくわかりません。
天然ウナギは大きいやつは1kgを超えるサイズになります。200〜300gが標準の養殖ウナギより骨が硬かったりするので、慣れるまではちょっと時間がかかるかもしれません。
以下、うなぎのさばき方です。
1.ウナギは捕獲後に氷などで冷やしておくと動作が鈍くなり、さばきやすいです。首の根もとに切り込みを入れて、動かなくする方法もあるそうです。
2.ウナギの頭を右にして背を手前にして目釘を打ちます。目打ちがあればよいですが、アイスピックや太めの釘で十分です。あと、目釘と言いますが、実際に打つのは目ではなく、もうちょっとエラに近いところの打ちやすいところです。
このウナギはでかかったのでまな板を2個つないでます(笑)
3.首のところから刃を入れて、背骨に沿って尻尾の方へ刃物を引いていきます。この際はくれぐれも内臓を破らないようにしてください。使う刃物は、写真では出刃を使ってますが、ほんとはよく切れる薄い小さめの包丁かナイフがいいです。カッターナイフでやる人もいるくらい。
開いた状態です。捕獲の過程で出血したので、ちょっと血で汚れてます。
4.これできれいに開けるので、内臓をとります。だいたい引っ張れば取れますが、胆のうや腸が破れると臭いので、随時ナイフを使ってください。
血が出ている時は随時キッチンペーパーなどでふき取ってください。大きいやつの場合は、背骨に沿って血管に血が残っている場合があるので、それは絞り出すなどして適当にふき取ってしまってください。なお、ウナギの血は毒なので、口に入ったりしないように気をつけましょう。まあ、加熱すると毒性は失われるので、そんなに神経質に拭き取ったりする必要はありません。
なお、内臓は胆のうを取り外し、腸の内容物を取り除いて、肝焼きか肝吸いにするとよいです。胆のうは干しておいておくと目の薬になると言われています。
内臓を取りました。血をきれいにふき取りましょう。
5.次に、背骨をはずします。背骨は内臓があるあたりは断面が三角形になっており、それより後ろの部分は平面です。なるべく骨に肉が残らないようにしましょう。
背骨は適当なサイズに切って、後で一緒に焼きます。で、タレにそれを漬け込んでおくと、タレの旨味が増します。その後の背骨は骨せんべいとして食べます。
腹側からも切れ目を入れておくとやりやすいです。
6.頭を落とし、身を適当なサイズに切って串を打ちます。天然ウナギは皮が固いので、結構慣れるまで苦労します。串を打つのは反るのを防ぐためです。ちなみに、ウナギ業界では、「さばき3年串打ち5年焼き一生」などと言って、さばくのよりも串打ちが難しいとされています。
あと、頭は半分に割って焼きます。これも身を浸ける前のタレに骨と一緒に漬け込みます。この頭もさらに焼いて食べましょう。ウナギの頭はよく半助とか言われますね。
天然ウナギは大きいので、市販品のように丸ごと焼くのは大変です。
ウナギの頭は半割に。なお、これは2匹分です。
これでさばき終わりです。
7.これで完成。あとは焼くだけです。必ず炭火で焼きましょう。皮の方から焼きますが、皮がかなりカリッとするまで焼きましょう。その後、身の方を焼きます。で、何回かタレに浸けて焼いたら完成です。タレにつける前に十分に焼いておくのがコツです。そうしないと大きいウナギは仲間で十分に焼ける前に焦げてしまいますので。1kgを越えるウナギは蒸した方がいいとか煮た方がいいとか言われたりもしますが、この方法なら問題なくふっくらと焼けます。
七輪では無理なので、長めのバーベキューコンロが便利。
皮がいい色に焼けてきます。
タレをつけるといい香りが漂ってきます。
なお、私のウナギの蒲焼きのタレは、醤油とミリンを同量と日本酒を適量入れて煮詰め、砂糖を入れて甘みを調整したものに山椒の佃煮をすりつぶしたものを混ぜてます。それに毎回捕れたウナギの骨と頭を投入して旨味を増していってます。だいたい2リットルくらい作って壷に入れておき、減ってきたら随時補充し、シーズン中は冷蔵庫で保存しています。で、うなぎシーズンが終わると、よく濾してからペットボトルなどに移して冷凍保存して来年のシーズンに持ち越します。こうするといつもおいしいタレでいただくことが出来ます。
タレは多めに作っておくのがよいです。
↑ウナギを捌く刃物は、これくらいの小さなもので問題ありません。極端なことを言うとカッターナイフでも問題なく捌けます。
伝統的な鰻裂き用の刃物は関東型、名古屋型、大阪型、京都型などいろいろな形状のものがあって面白いですが。
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